Springhead Libraryは、unixおよびWindowsの両プラットフォームに対応しており、 ビルド環境はCMakeを用いて生成することができます (unixではMakefile、WindowsではVisual Studio用のsolution/project file)。
この章では、Springhead Libraryのセットアップ方法について、 unixとWindowsのそれぞれについて説明します。
動作を確認しているプラットフォームは、以下のとおりです。
unix: | |
Ubuntu 19.04.4 LTS (x86_64) | |
cmake version 3.18.0 | |
Windows: | |
Windows 10 Enterprise | |
Microsoft Visual Studio Community 2019, Version 16.9.3 | |
Windows SDK version 10.0.18362.0 | |
cmake version 3.18.1 | |
本書では、Springhead Libraryをインストールしたディレクトリを".../Springhead"と表記します。 実際にインストールしたディレクトリに合わせて適宜読み替えてください。
セットアップでは、
• ビルドに必要なツールの確認
• 拡張版swigのビルド (unixのみ)
• "CMakeLists.txt"の準備
などを実施します。
セットアップで得られた情報はセットアップファイル
".../Springhead/core/src/setup.conf"
に記録され、 CMake及びビルドの実行時に参照されます。 また、セットアップが済んでいるか否かはこのファイルが存在するか否かで判断します。
なお、セットアップファイルを削除することでセットアップ前の状態を復元できます。
Springhead Libraryのビルドで使用するツールは次のものです。
python |
複数のプラットフォームに統一して対応するため。 ビルドで使用するpython scriptはpython version 3ベースで記述されています。 拡張モジュール等を使用することでpython 2.7.17での動作は確認して いますが、今後の修正において対応しきれないことも考えられます。 Python 3以降のバージョンが使える環境をお 使いください。 |
cmake |
Solution file/Makefile の生成を自動化するため。 |
swig |
Springhead用に拡張されたもの。 EmbPythonライブラリをビルドするのに必要。 unixの場合にはセットアップ時に生成します。 Windowsの場合には配布セットに含まれたものを使用します。 |
gcc, gmake |
unix環境のビルドツール。 |
devenv, nmake |
Windows環境におけるVisual Studioのビルドツール。 Visual Studioのインストールキットに含まれています |
nkf |
encoding変換のため。 なくても大丈夫ですが、一部のメッセージが文字化けする 可能性があります。 |
次の点にご注意ください。
• unix環境において、 デフォルトでgmakeが見つからない場合(which gmakeで確認できます)には、 gmakeという名前でmakeにリンクを張ってください。
例えば cd /usr/bin; sudo ln -s ‘which make‘ gmake
なお、make –version としたときに GNU Make 4.1などとGNU Makeの表示がでないときは、 gmakeのインストールが必要となります。
• unixの場合、必要なツールはすべてPATHに登録しておいてください。
• Windows環境で複数のVisual Studioがインストールされている場合には、 使用するVisual Studioのバージョンを選択することができます(後述)。
• Windowsの場合、devenv以外のツールは PATHに登録しておいてください。
ディレクトリ".../Springhead/core/src"に移動して、 スクリプトsetup.shを実行します。
ここでyと答えればセットアップファイルが作成されます。 セットアップ作業はこれで終わりです。
初めてのセットアップと同様、次のようにしてスクリプトを実行してください。
必要な環境に変更がなければ
となり、スクリプトは終了します。
何らかの変更がある場合、たとえば
• 使用するツールのバージョン/PATHを変更する場合
• 拡張版swigの再ビルドが必要となったとき
などの場合には
などとなりますので、yで答えてください。 必要な処理が実行され、セットアップファイルが更新されます。
何らかの理由で上記の“continue? [y/n]:”が表示されないとき、 または強制的にセットアップファイルを再作成したいときには、 setupコマンドに ‘-f’オプションを付けて実行してください。
ディレクトリ".../Springhead/core/src"に移動して、 スクリプトsetup.batを実行します。
セットアップ作業は以上です。
(注) devenvが複数見つかった場合は次のようになりますので、 適切な番号を選択してください。
初めてのセットアップと同様、次のようにしてスクリプトを実行してください。
必要な環境に変更がなければ
となり、スクリプトは終了します。
何らかの変更がある場合、たとえば
• 使用するVisual Studioのバージョンを変更する場合 (新しい Visual Studio をインストールした場合など)
• 使用するツールのバージョン/PATHを変更する場合
などの場合には
などとなりますので、yで答えてください。 必要な処理が実行され、セットアップファイルが更新されます。
何らかの理由で上記の“continue? [y/n]:”が表示されないとき、 または強制的にセットアップファイルを再作成したいときには、 setupコマンドに -fオプションを付けて実行してください。